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実験装置

純良試料・単結晶育成技術

 しばしば哲学的問題として、人間の本質は善であるか悪であるかとの問いが発せられますが、我々の研究もまさにこの哲学問題と同様に物質の本質への問いから始まります。人間からすべての虚飾を取り去ればその資質が見えてくるのと同様に、物質を極低温まで冷却することによりその物質を被う熱的衣を取り去りその性格を露わにすることができます。
しかしながら、個々の人間が成長環境により大きくその性格を変えるように、物質も成長のさせ方により構造を歪ませたり、異物を含んだりしてその物性を大きく変化させてしまうことがあります。それ故、その物質が持って生まれた性質を明らかにするためには理想的環境の下で成長させなければいけません。物質によっては、3000℃近くにしないと溶けないものや、単純に溶かすと分解してしまうものなど様々ですが、我々グループでは、それぞれの物質にあった作成方法を考え、最適な作成装置を使用して、純度、品質とも世界最高レベルの試料の育成を行っています。
テトラアーク溶解炉
アルゴンガス中でのアーク放電によって生じる10000 ℃もの熱で金属元素を融解させ、合金を作成することができます。融解した高温の液体金属から直接結晶試料を引き上げる「チョコラルスキー法」によって歪みの少ない単結晶試料を作成出来ます。
テトラアーク溶解炉 (プロトタイプ)
本研究室にあるテトラアーク溶解炉は国内で初めて導入されたモデル(導入当時はトリアーク炉)であり、今も現役で活躍しています。
タングステンヒーター炉
タングステン製のメッシュ状ヒーターに100 Aを超える電流を流し、2000 ℃もの高温を真空中で発生させることのできる装置です。
金属製の坩堝に密封された試料を加熱し徐々に熱源から遠ざけることで合金を作成する「ブリッジマン法」という手法を用いることで、蒸気圧の高い金属間化合物の作成に適しています。
 多段タングステンヒーター炉
上のタングステンヒーター炉と基本的な原理・構造は同じ装置です。ただし、こちらの電気炉にはヒーターが複数取り付けられています。この装置の特徴は、これら複数のヒーターを独立に制御することで、縦方向温度勾配を自由に設定することができる点にあります。
縦型シリコニットヒーター炉
シリコニット発熱体(炭化ケイ素、SiC)をヒーターに用いた縦型の電気炉です。この装置は炉内の雰囲気(ガスの種類)を変更することができるように作成されています。
横型管状炉
炉内に試料を横置きできるため粉末試料の焼結などに適しています。この電気炉も炉内の雰囲気を調節することが可能です。試料への酸素添加等を行うことができます。
 単結晶X線回折装置
作成した試料の結晶方位を決定する際に行うラウエ写真を撮影する装置です。通常の写真が実空間の画像を撮影するのに対し、ラウエ写真では波数空間(実空間のフーリエ変換)を撮影することが出来ます。この装置は、ラウエ写真の撮影から現像までを自動処理するため、効率的に研究を進めることができます。
電子ビーム溶接機
高温に加熱されたタングステン製のフィラメントに高電圧を印加し、加速された電子を衝突させることで局所的な高温を作り出すことができる装置です。本研究室では高融点であるモリブデンやタングステンなどの融解接着に用いています。

複合極現場における測定、複合極現場による物性制御