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実験装置

複合極現場における測定、複合極現場による物性制御

 極低温は温度による遥動を排除し、物質の基底状態を見るために必要不可欠です。また、磁場は電子のスピンや運動に作用するために、物性や電子構造の測定に重要なばかりでなく、しばしば相転移を生じ、量子ホール効果のような新しい電子状態を生みます。圧力は物質の構成原子を変化させる事なく、物質の状態を変化させる事ができます。これらを同時に実現する事はたいへん困難ですが、私たちの研究室はこれらを同時に実現した環境(複合極限環境)で各種の物性測定をするばかりでなく、量子振動現象を用いて電子構造を測定する事を特長としています。このような複合極限環境下で量子振動が測定できるように開発したのは私たちが最初で、いまだに同様な測定できるグループは世界でもほんのわずかです。

冷凍機

 私たちの研究室ではさまざまな種類の冷凍機を用いて極低温を実現しています。 冷凍機によって得意とする温度領域や最低到達温度が異なるため、それらを使い分けて研究を行っています。 多くの冷凍機には超伝導体で作成された電磁コイル(超伝導マグネット)が取り付けられており、そこに100 A程度の大電流を流すことで地磁気の30万倍もの強力な磁場を生み出すことができます。
4Heクライオスタット
二重式のガラス製デュワー(魔法瓶)を用いた冷凍機です。銀色の部分には銀メッキがされており、赤外線などを反射する役割を担っています。外側のデュワーには液体窒素を入れ、内側のデュワーには液体ヘリウムを入れることで、室温から1.5 K程度まで冷却することが可能です。
小型で簡便な装置のため、主に試料の品質チェックや新しい測定のテスト等に適しています。
温度可変クライオスタット(VTI)
室温から1.5 Kまでの任意の温度で温度を保持することのできる装置です。液体ヘリウムによる冷却能力とヒーターの制御によってこれを実現しています。超伝導マグネットが装備されており、14 Tまでの磁場を発生させることができます。
この装置では、主に電気抵抗測定や磁化および磁化率測定などを行っています。
 3Heクライオスタット
4Heよりも沸点の低い3Heを用い、4He冷凍機では辿り着けない低温(0.5 K程度)を実現する装置です。
こちらの装置にも超伝導マグネットが装備されており、14 Tまでの磁場を発生させることができます。
主に、電気抵抗や比熱測定を行っています。
トップローディング式希釈冷凍機
この冷凍機は本研究室での最低到達温度である0.02 Kまでの冷却が可能です。同時に、本研究室での最高磁場である17 Tを発生させることのできる超伝導マグネットが取り付けられており、dHvA効果の測定に適した磁場掃引も可能です。
さらに、通常の希釈冷凍機における試料交換には、多くの時間と冷媒の消費を伴いますが、この装置では冷媒を残したまま試料交換行うことで試料交換にかかるコストを劇的に削減できます。
スライディングシール式希釈冷凍機
伝統的な設計に基づいた希釈冷凍機です。最低到達温度・最高磁場は共にトップローディング式希釈冷凍機には及びませんが、試料空間が真空であることを利用して比熱等の測定に用いています。(資料準備中)

物性測定装置

資料作成中

純良試料・単結晶育成技術