極低温物理学研究室では、強相関系と呼ばれる物質の、絶対零度近傍で起きる新たな量子現象の探索とその起源解明を行っています。
物質を絶対零度近傍まで冷却すると、熱的な擾乱によって覆い隠されていた物質の本来の性質が見えてきます。
超伝導はその顕著な例としてよく知られています。
とりわけ、多彩な基底状態や量子現象が発現する強相関電子系では、極低温であらわになる現象が多く、
極低温が物質探索や新奇な現象解明の重要なツールとなっています。
当研究室では、興味ある物質を可能な限り自分たちの手で作成します。とくに純良な単結晶の育成にこだわっています。
これは不純物や結晶の乱れによって本来の性質が失われてしまうことが良くあるからです。きれいな結晶面をもつ単結晶が得られると感動します。
また我々は極低温だけでなく、強磁場、高圧といった温度以外の示強変数をコントロールして物質の性質を積極的に変化させ、新たな性質を見出したり、
物性解明のカギとなる現象を観測したりすることを得意としています。外部パラメータによって物性が劇的に変化する様子を見ると、心が動かされます。
物性実験の面白さはこのようなドラスティックな変化を目の当たりにできることと、
そんな不思議な物質をみずから作り出したり見つけたりすることができるところにあると思います。
強相関電子系の強相関とは、電子同士が感じるクーロン相互作用が強い系という意味です。
このような系では、電子が多数集まることによって生じる多体効果によってバリエーション豊かな基底状態(物性)を示すことから、
物性物理学のハイライトとも呼べる分野の一つとなっています。
当研究室では、量子臨界現象や量子スピン液体、重い電子系、エキゾチック超伝導を示す物質を対象に、
輸送現象(電気抵抗や熱伝導)、比熱、帯磁率、ドハース・ファンアルフェン効果といった測定手段を駆使して研究を行っています。
当研究室では、モノ作りから計測システムの開発、測定までワンストップで学ぶことができます。
どの過程もブラックボックス化せず、自ら考え、手を動かして納得しながら研究を進めます。
時にはうまくいかないこともありますが、原因を探り困難を克服した先に、まだ誰も知らない新しい現象を見出した時の喜びを皆さんにも味わっていただきたいです。
私たちと一緒に研究をしませんか?